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安定性を犠牲にした軍用機の工夫 [MU-2]

安定性を犠牲にした軍用機が操舵システムとしてどんな工夫をしているのか、FA-18とF-4ほかの例を紹介しようと思います。

FA-18 の Elevon & Flaperon

FA-18のロール操舵のメインは、水平尾翼全体の迎え角を左右別々に制御する Elevon によります。またFA-18の主翼後縁には内翼と外翼に2分割された Flap があり、外翼の Flap は左右別々に動く Flaperon として機能し、微妙なロールコントロールを可能としています。
https://youtu.be/JYUm5Nl6318
0:50辺りから離陸直前の操舵翼の作動チェックで、FlaperonとElevonがバタバタ動いてるのがよく判ります。

以下の着陸時の写真は両翼のAileron がFlapとして下がっているのが判ります。
FA-18_flaperon.jpg
出典:
https://www.blueangels.navy.mil/assets/img/media/20170606/02.jpg

次の動画は強烈な横風を受ける中、Flaperon とElevonをフルに使って降りてくる様子です。
https://youtu.be/7GQULamPdBI
始めの方はローパス、1:18辺りからタッチダウン、最初に着陸した機体は接地後も横風に煽られないようにFlaperon 、Elevon(接地後に注目)ともに右ロール方向の舵を切ったままです。2機めは接地と同時にエアブレーキを開いた為かElevon舵角の左右差がそれほどありません。高機動を実現する為の強力な操舵システムは、外乱に対する姿勢保持にも威力を発揮しているのです。

F-4 の Aileron & Spoiler

F-4のSpoiler はAileron上面の前方に配置されています。あるサイトによるとAileron(主)によるAdverse Yow対策としてSpoiler(副)を併用した旨の解説がありました。F-4のルーツが艦載機である事を考えれば、ロール操舵の繰り返し操作で高度をロスすることは許されないので、Aileron なしのSpoileron はあり得なかったのです。

左バンクから右ロール操舵
F-4_roll.jpg
出典:
http://www.plane-mad.com/aviation-photos/view/usa-air-force-(usaf)/mcdonnell-douglas-f-4-phantom-ii/las-vegas-nellis-afb/35215.html

左ロール操舵による左バンク
http://www.desktopimages.org/preview/214187/2560/1440/o

右バンクから左ロール操舵
http://www.kabegamikan.com/p/i.php?url=www%2Ekabegamikan%2Ecom%2Fimg%2Ftr%2F14231%2Ejpg&d=s

右ロール操舵による右バンク
http://mmsdf.sakura.ne.jp/public/glossary/pukiwiki.php?%A5%B9%A5%DD%A5%A4%A5%E9%A1%BC

Jaguar の Flaperon & Spoiler

Wikipedia (2018年1月)によるとJaguarのroll control はSpoiler によるとありますが、以下の2つの画像からするとFlaperon にSpoiler を併用しているようです。

左側の Aileron の前方に位置する Spoiler が少し開いているように見えます。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/SEPECAT_Jaguar#/media/File%3ARAF_Sepecat_Jaguar_T2A_Lofting-1.jpg

以下のスライドの1/20と2/20です。
http://slideplayer.com/slide/6020495/

Jaguar といえば、今更ですが、T-2はよしとしてもF-1はSpoileron だけで良かったのかな?

ここで
MU-2新旧モデル
の全体外見。

プロペラ軸が主翼下方にあった当初形態
https://flyteam.jp/photo/188065
プロペラ後流の大半は主翼下面を通過していました。

エンジンパワー増強と供に、プロペラ径の増大によりプロペラ軸は主翼に近づき、さらにはプロペラ枚数が3→4→5翅に
http://propellerpartsmarket.com/stc-kits-mt/mt-stc-mitsubishi-mu-2b/
プロペラ後流の影響が全く違うでしょうに・・・左右のプロペラ回転方向が同じMU-2では低速飛行時に主翼上面に強烈な横風成分がありそうなことから、PS-1, US-1で問題となった「左旋左傾」と同様の癖が、MU-2のバージョンアップとともに顕在化されたはずです。

プロペラ後流の影響をまともに受けるSpoileronは、同じもので大丈夫なのでしょうか?
http://www.flickriver.com/photos/75877584@N05/25244861052/
MU-2のSpoileron のクローズアップ(再掲)

【情報求む】プロペラ後流の影響を受ける領域に、Spoileronとして作用するspoilerを配置した他機種の例をご存知でしたらご教示ください。

MU-2を戦闘機と比べるのは酷かもしれません。しかし、過度なバンク角から態勢を立て直すことが出来ずにcrashに至ってしまったB-52やC-17のように、遠目にもその動きが明らかな大きなSpoilerでさえノーコンになる事があるのに、MU-2の小さな(背の低い)Spoilerが有効に作用する条件はB-52やC-17よりずっと制限されそうです。

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