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プロペラ後流について(まとめ) [MU-2]

先に紹介したSolitaire (MU-2B-26A) の左旋回中
https://youtu.be/_GeH4DlAWuQ?list=PL8rNPnvH5eXjaWDnuevH2LF1tRdbnorqs
の不可解な操舵(左旋回中に操縦輪を大きく右にきったまま保持している)が、プロペラ後流の影響によるものであろうとの仮説を検証するため、しばらくプロペラ後流について調べていました。

調査の経緯も為になることが多かったのですが、解説が冗長になっても逆に解り難くなりそうなので、まずは現時点で自分なりに理解した要点を以下に紹介しておきたいと思います。個々の詳細については、おいおい解説してゆく予定です。

まず、自分の語彙では「プロペラ後流」という表現しかできなかった現象は、専門用語として【Slipstream】と呼ばれていることを知りました。(以下、箇条書き・体言止めで要点を記載)

【Slipstream】にはAccelerated SlipstreamとSpiraling Slipstreamがある
・Accelerated Slipstreamはプロペラ後流のプロペラ軸方向の流れで、機体の推進力となるもの
・Spiraling Slipstreamはプロペラ後流の旋回成分、プロペラに「引きずられる」ことによって発生したプロペラ回転方向と同じ向きに旋回する流れで、Slipstream(円筒状のプロペラ後流)の内側に拘束されたまま後方に流れた先(主翼、胴体、尾翼まわり)で、機体に「悪さ」をするもの、旋回の程度はSwirl Angleとして表示されることが多い

Spiraling Slipstreamは、プロペラ先端からたなびくPropeller Tip Vortex (Vortices)
https://en.wikipedia.org/wiki/File:DehavillandCC-115Buffalo12.JPG
としばしば混同される
・Propeller Tip VortexはSpiraling Slipstream そのものではない
・Propeller Tip VortexはSpiraling Slipstream と周辺大気との「境界面」に発生する渦
・Propeller Tip VortexはSpiraling Slipstream とで「螺旋の向き」が逆になる
・Propeller Tip Vortexの発生原理は主翼に発生する翼端渦と同じ


【Slipstreamの主翼への影響】
・Accelerated Slipstream は Slipstream に晒された主翼の局所揚力を増す
・Spiraling Slipstream はプロペラの左右で主翼の「局所迎え角を増減」→「局所揚力が増減」→「Roll方向のモーメントを発生」する←本記事冒頭の Solitaire (MU-2V-26A) の不可解な挙動の主因はこれでした(フラップ下げでこの効果が強くなるのは「フラップダウン」→「ノーズダウン」→「P-factor」→「左ロール(プロペラ回転:後視CCW)」の構図)


【単発機の場合】左右に係わる特性の記述は、プロペラ回転方向が後視CWのケース
・主翼により偏向された Spiraling Slipstream は胴体を回らない(回りこめない!)
・垂直尾翼の左側に Spiraling Slipstream の「正圧」は作用しない(回りこめないので)
https://www.youtube.com/watch?v=8YrtxI17HNY
この↑動画のように高翼機の場合でも、主翼の吹き降ろしが「エアカーテン」となって回り込めないようです

・・高翼機の場合、主翼上面で Spiraling Slipstream は右横向き(スパン方向)に偏向・加速→ Accelerated Slipstream として垂直尾翼右側へ「吹き抜ける」→垂直尾翼の右側に「負圧」として作用→左Yaw

・・低翼機の場合、主翼の影響を受け難い 9:00 辺りから 12:00 辺りの位相(プロペラ回転面)を源流とする Spiraling Slipstream が垂直尾翼の右側を「吹き抜ける」ことによる作用(高翼機と同じ)に加えて、胴体右舷と右主翼のコーナーに「吹き寄せられ」行き場を失った Spiraling Slipstream が後方へ偏向・加速される事から、左舷に比較して右舷の静圧が下がり、胴体にも右向きの力が作用し左への Yawing 傾向が高翼機より強く出ることが推察される
https://pixers.us/wall-murals/propeller-airplane-with-smoke-18561622
この↑画像の smoke の渦は Spiraling Slipstream が主翼付け根で「偏向・加速」された事を示す


【双発機の場合】
・Spiraling Slipstream は主翼で上下に分断される
・主翼で上下に分断された Spiraling Slipstream は「プロペラの中心寄りのエンジンナセルに沿う流れ」と「Slipstream 左右の端寄りの流れ」が主翼後縁で合流する際に3つの小さな渦を発生し、その回転方向と強さは主翼後縁で合流する際のベクトルのギャップに左右される
https://www.syracuse.com/news/index.ssf/2011/08/oswego_county_will_spray_to_he.html


【4発機の場合】
・Spiraling Slipstream は主翼との干渉により様々な影響が発生する

・・主翼上面の流れの例
高翼機の場合、後視CWで右側への偏向が顕著になる→PS-1, US-1で「左傾左旋回」傾向
https://www.airliners.net/photo/UK-Air-Force/Lockheed-Martin-C-130J-30-Hercules-C4-L-382/376950
リンク先の画像はC-130Jです

・・主翼下面の流れの例(動画の途中に出てくる解説図が判り易い!)
https://www.youtube.com/watch?v=6HcmwT-s_8Q
No.4エンジン(右端)のプロペラからの Spiraring Slipstream が再生されて長く残っているように見えるのは、主翼の翼端渦によるものです(No.1エンジン後流の渦は逆向き)

以上
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